株式会社情報科学研究所
Information Science Laboratory, Ltd.

次世代オペレーティングシステム SSS - PC

―― オフィスのPC を束ねて高性能高信頼システムを構築する新OS ――

SSS - PC の概要

 SSS - PC は職場にあるPC やワークステーションを束ねて高性能高信頼システムを構築する次世代オペレーティングシステム SSS- PCを開発し、この度 16台のPC から成るプロトタイプシステムの稼動に成功した。この新 OSの下では、一台の高性能並列計算機として多数の PC等が統合的に使用可能であるだけでなく、実行中のアプリケーションプログラムを停止することなくマシンメンテナンスを行うことや、同様に無停止でシステム構成を動的に拡張や縮小することが可能である。また、 LinuxUNIX 用に開発されたアプリケーションをソースコードの修正なしに移植可能な互換ライブラリを提供する。 SSS- PCは情報処理振興事業協会の平成 13年度IPA 情報技術開発支援事業等によって支援されて開発された。 SSS- PCの主な特徴は以下のとおりである。

特徴 1高性能通信プロトコルの採用

特徴 2 アプリケーションの実行マシンを動的に変更可能

特徴 3 自由市場原理に基づくスケジューリング方式の採用

特徴 4 高いスケーラビリティ

特徴 5 Linuxとソースコードレベルでアプリケーションの互換性

特徴 6 新規機能とキラーアプリケーションによる普及戦略

SSS - PC に関する詳しい説明は http://www.ssspc.org/(平成 15120日開設予定)をご覧下さい。


今後の計画

将来的にはSSS - PC をディペンダブルコンピューティングの基盤技術として発展させられるように、今後は高信頼性機能の開発増強に注力して行く。特に、複数のマシンを活用して既存アプリケーションを重複して実行させて、多数決の結果を最終的な動作とする冗長多数決実行機能を OSに追加する予定である。この冗長多数決実行機能により、一部マシンが突然停止してもアプリケーションの実行は停止しないシステムの開発が実現される。なお、冗長多数決実行を採用した高信頼ファイルシステムとして LinuxNRFS を開発し公開している。詳しくは http://www.ssspc.org/nrfs/をご覧下さい。


ディペンダブルコンピューティング

コンピュータの高性能化と低価格化などにより、現代社会ではコンピュータシステムが広く深く浸透するようになっています。家庭生活、娯楽施設、運輸.交通、情報通信ネットワーク、産業活動、 金融・保険業務、 医療、芸術文化活動、
商業活動、農業管理、行政機能など枚挙にいとまがありません。

これだけの機能とサービスを提供するサイトでは、各種バックエンドサーバや入力・参照クライアントをはじめとして、非常に多数のコンピュータが導入されています。それだけコンピュータシステムは規模と複雑さをましているといえます。このようなコンピュータシステムは故障やメンテナンスなどのための停止と無縁ではいられません。 しかし見方を変えれば、多数のコンピュータが強調しあいお互いの停止状態を補いながら、一つのシステムとして一定のサービスを提供する状況がととのいつつあるともいえます。

人々の社会生活の多くの場面がコンピュータ抜きには考えられないようになっている状況下においては、人々の社会生活基盤を安定させるため、故障や改良・修正などのメンテナンス作業に遭遇しながらも連続して稼働しつづけるコンピュータシステム(ディペンダブルコンピューティングまたはノンストップコンピューティング)の実現は多方面から望まれるようになっています。

情報科学研究所は、プログラムがコンピュータ間を移動しながら連続稼働可能なマイグレーション機能を搭載したオペーレーティングシステムを SSS- PC中核技術とすることで、ディペンダブルコンピューティング環境の提供を目指しています。